館主 かっきーの独り言 

母と映画・・・、徒然なるままに。

2011年3月20日、母が他界した。
茶道を愛し、花を愛し、歌を愛し、映画を愛し、
いつも前向きに生きる凄い人だった。

私が映画館の仕事を始めてからは、常連客として、
友達といつも映画を観に来てくれた。

最後に観たのが「借りぐらしのアリエッティ」。
体調はあまり良くなかったけど、どうしても観たかったらしく、一人で来てくれた。

見終わった後の満足げな顔は、今でも忘れられない。


そういえば、お互いに映画が好きだったのに、一緒に観に行った記憶はあまりない。
母と観た映画で覚えているのは、
大学時代、帰省したときに、本渡映劇で「帰ってきた若大将」と、

たのきん映画第一弾「スニーカーぶる〜す」の二本立てを、貸切りで観たこと。 

お互い加山雄三の
ファンなので、‘若大将’を観終わって、帰ろうとしたら、
映写技師の人に、‘せっかく始めたんだから、
帰らないでくれ〜’と懇願された。  

仕方なく、もう一本の方もしばらく観たのだが、あまりの○○さに、
母と相談し、
映画館の人に気付かれないようこっそり帰った。

今、同じ立場になって、何故、あれほど帰るな、と言われたのか、痛いほど分かる。
「あのときの映写技師さんに謝ります。ゴメンナサイ!」。

それと、母が上京したとき、新宿コマ東宝で、
「あ・うん」を観たあと、私が知らなかった父との
‘ここだけの話’を聞いたこと。  
これにはビックリ!(公表はしません!)

他にも、母には、天草での映画にまつわるエピソードをいくつか聞いたことがある。

何度も聞いたのが、時代劇スター、黒川弥太郎が、
天草ロケ(「天草秘聞 南蛮頭巾」)に来たとき、
友達と授業を抜け出して
撮影を見に行き、彼にこっちを向いてもらおうと、必死にアピールした話。

それとは逆に、女たらしで有名な池部良が、
中央館(現・第一映劇)に来たときは、目が合ったら
襲われると思い、
自分をはじめ見学に行った若い女性は、皆、目を伏せていたという話。

美空ひばりと大川橋蔵、そして、若い頃の錦之助が好きだった。
特に、ひばりの出演映画は、ほとんど観ているらしく、とにかく詳しかった。

「ひばりちゃんの映画を、スクリーンでまた観たい!」
というリクエストに応えて、何本か上映したことも・・・。

美空ひばりの歌をこよなく愛した母が、
よく口ずさんでいた「津軽のふるさと」という歌がある。

「リンゴ園の少女」という映画の挿入歌だが、あまりにも有名すぎる、
主題歌の「リンゴ追分」よりも、
ひっそりと大事に歌われて来た、
「津軽のふるさと」の方が、自分も好きだ。

この曲を先日、松山千春が、天草・牛深のコンサートで歌ってくれた。
生前、母は何度か千春のコンサートに行き、彼のトークと、
真摯な歌い方をとても気に入っていた。

大好きな、ひばりと千春のコラボ・・・。 聴かせてあげたかったなあ〜。
歌を聴いてあんなに泣けたのは、久しぶりだったよ。

「千春が、天草に来る!」
という、奇跡にあやかって、「極道戦争武闘派」(中井貴一・松山千春主演)を
上映したけど、
動員に奇跡は起きなかった。 
それどころか、かなり、キビシイ結果に・・・。(泣)

それでも、こちらは、千春と千葉ちゃんという、
映画以外ではありえない、奇跡のコラボを観られたので、
これはこれでヨシ、としよう。

‘奇跡のライブにあやかって、千春の主演映画を天草で観よう!!’・・・、
たくさんの千春ファンと、
千春本人が、第一映劇で、映画を一緒に観ている図を
想像していたけど、今回は夢に終わった。

でも、いつかは・・・。

それでも、嬉しい出来事が、ひとつ。
千春と同じく人気を分け合い、私たち家族も大好きなフォークシンガー、
さだまさしさんが
映画館に来てくれた。

滞在時間は僅か10分足らずだったけど、
映画館にも満足してもらい、帰り際には、
「今度は、ちゃんと映画を観にくるよ!」
と約束してくれた。
「わさお」を、ほんのちょっと観ただけだったのに、入場料も払ってくれた。

私たちが望む応援というのは、こういうこと。 
普通にお客さんとして、映画を観てもらう・・・。

さださんは、映画ファンとして、こちらの気持ちを理解してくれる、凄い人だった。 

さだまさしさんへ・・・。

「さださん!  さださんの、今回の来館の話をしたら、皆、口を揃えて、
スゴ〜イ!!って、言っています!

天草のさだまさしファンが、一気に増えたのは、間違いありません! 
今度はゆっくり時間を作って、また
映画を観に来てくださいね! 
ご来場、お待ちしております!」

                              2011年5月27日