グッバイ2012年!

 

今年も間もなく終わり。

いろいろあった2012年・・・・。 
この世界は終わらなくても、一年という年月にはちゃんと終わりがくる。

 

映画館も同じで、東京の映画館では、開館と閉館が相次ぐ状態が続いている。
自分が学生時代、アルバイトをしていた新宿歌舞伎町界隈の映画館たち(ちなみにバイト先は現役の新宿ミラノ座)は、現在はほとんど姿を残していない。代わりに、近年中に超大型シネコンが出来るそうだ。

それと、映画館発祥の地といわれる浅草。その浅草から、すべての映画館が消えてしまった。ピンク映画専門館2館と、旧作上映の浅草中映(洋画二本立て)、浅草名画座、浅草新劇場(邦画3本立て)の3館がこの秋、すべて閉館になった。実は、ここの経営は赤字ではなく、閉館は劇場の老朽化と浅草の再開発が理由だそうで、長年、この劇場を愛したファンとしてはとても残念なニュースだった。 そして、この5館ともフィルム映画館であり、来年、3月に閉館になる、銀座シネパトス(邦画2本立ての名画座)もフィルム映画館であることを考えれば、映画館の完全デジタル化への移行が、ますます現実味を帯びてきているといえる。

 

先日、お世話になったこの映画館たちにお別れが言いたくて4年ぶりに上京した。

学生時代、「ぴあ」と「シティロード」片手に、映画館巡りをしていたあの頃、どんなに遠くても、目当ての映画のためなら苦労はなかった。

浅草もそのひとつ。電車の乗換えを考えたらうんざりだけど、浅草六区映画街に着くとそんな苦労も忘れるくらい幸せだった。

浅草東映、浅草松竹、浅草東宝の絵看板にワクワクし、浅草トキワ座、浅草花月、浅草新劇場のレアポスター&スチール写真を飽きるまで眺めていた。浅草東宝名物、土曜オールナイトで観た、東宝青春映画(酒井和歌子!内藤洋子!)や、ゴジラ、クレージーキャッツシリーズは一生忘れないだろう。森谷司郎監督の青春映画の面白さを教えてくれたのもこの映画館だ。その当時、10館以上あった映画館も新劇場、中映、名画座の3館を残してすべて閉館。そして、平成24年10月21日、浅草から映画の灯が消えた。 

閉館4日前、久しぶりに訪れた新劇場は、常連客よりも、閉館を聞きつけてきた一見さんの方が多いという感じ。喫煙者も、喧嘩もなく、○○もいなそうだ。お客さんも前を向いてちゃんと観ている。(当たり前だけど・・・)上映作品は、「釣りバカ日誌スペシャル」、「あばよダチ公」、「待ち伏せ」の3本立て! 当然、入れ替えも座席指定もなし! 場内はハマちゃんスーさんのドタバタ劇に、「ドォッ!」という笑いが起こり、優作、ミフネ、勝新、裕次郎、ルリ子のスター映画に見入っている! そんな光景も、まもなく浅草から消えると思うとなんだか悲しくなった。 

来年3月には、銀座シネパトスが幕を下ろす。 ここでは、舟木一夫の特集上映中! 

ファンと思しき、元乙女の女子たちが、グループでたくさん観に来ていた。 
今回観た「君たちがいて僕がいた」、「夢のハワイで盆踊り」はニュープリントだったが、せっかく新しいプリントにしたのに、これから劇場で掛ける機会がどれだけあるのだろうか・・・?

 

他にもまだまだ、頑張っている名画座がたくさんある。

新・文芸座にも久しぶりに行ったけど、相変わらず、映画ファンでいっぱいだ。この日観たのは、「ブリット」と「ダーティーハリー」の2本立て! これぞ、名画座の醍醐味という2本立てだ! この特集は、午前10時の映画祭で上映された作品の再利用だと思うが、ウチでも上映させてもらえないだろうか?(出来ればウチレベルのプリント代で・・・。) 

その後、神保町シアターで瀬川昌治監督の「喜劇 男の腕だめし」(太地喜和子サイコー!)の満席にビックリ&感動し、ラピュタ阿佐ヶ谷で京マチ子版「黒蜥蜴」も観たが、映画の出来はともかく(自分は深作版のサイケデリックさが好き!)、客層の良さと劇場側の対応に、気分良く鑑賞できた。  

 

今回の名画座巡りで、30年以上前、映画を観るために、時間があれば都内の名画座を片っ端から回っていたあの頃を思い出した。 

国鉄(JR)、私鉄、地下鉄、自分が知っている駅名は、映画館がある町のみ。気に入った映画館には何度も通った。中でも、上板東映や大井武蔵野館の個性豊かな組み合わせは、どこの映画館もマネできないくらい凄かった。石井輝男、増村保造、深作欣二、鈴木則文、健さん、優作、そして千葉チャン・・・たくさん勉強させてもらった。

上板東映と同じ、東武東上線にある成増東映は支配人さんがとてもいい方で、映写室を案内してもらったり、上映済みの東映ポスターも安く譲ってもらったりした。そういえば、東映アクション+ピンク映画の4本立て上映という基本番組路線のとき、ずいぶん、こちらのリクエストに応えていただいたなあ〜。

成増東映と上板東映がなかったら、東武東上線に乗ることは一生なかっただろう。

 

それと、桜木町ニュース劇場! この劇場の特徴は、朝一回目の上映が、時間調整で途中から始まること。最後に観に行ったときは、バイトを休んで、映画館をハシゴした日! 「直撃地獄拳 大逆転」の朝一回目の上映は、千葉チャンが、カニの横ばいをして命がけでビルを上っていくところからいきなり始まった。それでも、お客さんは文句ひとつ言わずに真剣に観ているから、ある意味スゴイと思う。3本立てを観たあと、ご飯を食べ、ちょっと戻って、川崎国際に・・・。ここで観た「ウルフガイ・燃えろ狼男」は、途中の巻が入れ替わって、話のつじつまが合わなくなっていた。一度死んだ、名和宏や室田日出男が生き返ったり、捕まって脱走した千葉チャンが再び捕まっていたり、むちゃくちゃな展開なのだが、誰も文句を言わない・・って気付いてないのか??? 「これはまずい!」と、受付のおばちゃんに訴えたら、「そんなら次の回に直しときます!」と言われた。ちなみにその日が最終日だったんだけど・・・。(涙)

夜は、再び桜木町に戻り、横浜文化劇場へ。ここのオールナイトは、昼間のピンク映画に加えて、東映・日活のアクション物を加えた6本立てになる。最後の一本「少林寺拳法」を観て、映画館を出たら外はすっかり明るくなっていた。朝から次の日の朝まで12本観たけど、疲れるどころか、映画の海に気持ちよくどっぷりと浸かり、心地よい朝を迎え帰路に着いたのを今でも覚えている。

 

もうこれからは、あの頃のように、映画浸けになる日々は、二度と戻らないだろうが、せめて今残っている映画館は、無くなって欲しくない。

映画を愛する人達が集う場所、「名画座」が、まだ残っている町はホントに素敵だ。出来れば、東京や大都市だけでなく、地方にも「名画座」が復活するような世の中になれば、人々の心がもっと豊かになるのになあ〜と、勝手に思っている。

 

今後、ウチが、フィルムの新作映画が上映できなくなったとき、どうすべきか? 例えば、天草ならではの名画座が出来ないか?・・・など、今、模索中デス。何かアイデアがあったら、ご協力くださいね。m(__)m

 

さて今年は、降旗康男監督・高倉健主演の「あなたへ」と、現在も上映中の、オール天草ロケ・大竹しのぶ主演作品「女たちの都〜ワッゲンオッゲン〜」に、たくさんのお客さんが来てくださいました。何十年ぶりに映画を観たというお客さんも多く、映画館で観る映画の楽しさが伝わったのではないかと思います。


「夫婦50割引」(どちらかが50歳以上なら夫婦で2千円)を初めて知った方が、「このサービスはヨカ〜。また夫婦で観に来るけん!」と言ってくださったのも嬉しい出来事のひとつです。どうぞ、また映画館に足を運んでください! 




来年、どれだけの作品が上映できるか分かりませんが、なるべく皆さんに喜んでいただけるような作品をたくさん上映したいと思っております。

 

本年もお世話になりました。来年も本渡第一映劇を、よろしくお願いいたします。

 

 2012年12月26日